記事の監修
株式会社リアルプロモーション 代表取締役松本剛徹
2011年に株式会社リアルネットを創業して、20代経営者ベストベンチャー30に選出される。
現在、全10事業を多角的に展開し、AI・教育・Webマーケティング・プロモーションなど4社を経営。
グループ年商は20億円を突破。事業売却や事業譲渡、会社売却を経験してきたシリアルアントレプレナー(連続起業家)として活躍中。
目次
プライシング戦略について
「経営の死命を制するのは値決めです。」
これは京セラの稲盛さんの言葉です。
商品やサービスの販売価格をいくらにするのかに悩むことありませんか?
今回は、値決めのプライシング戦略についてお話をしたいと思います。
値決めの方法は大きく3つあります。
- 競争基準型価格設定
- コスト基準型価格設定
- 価値基準型価格設定
それぞれを簡単に説明します。
競争基準型価格設定とは?
ライバルの価格をチェックして、それに合わせて価格を決める方法です。
この方法のデメリットは、価格決定の主導権が自社にはなくて、赤字に陥るリスクが高いことです。
価格競争で苦しんだ牛丼業界は、まさに、その典型例と言えます。
コスト基準型価格設定とは?
コストに利益を乗せて販売すること。
売上よりもコストの方が予想しやすく、この方法を取り入れる会社は多いです。
電力会社は、輸入した石油などにコストと利益を載せて電気料金を決めていたりします。
しかし、この方法は、顧客のお得さや、お値打ち感を考慮していません。
価値基準型価格設定とは?
これは顧客のお値打ち感をもとに、価格を決定する方法です。
ソニーの開発したウォークマンは、コスト基準だと4万円という価格で売らなければいけませんでした。
しかし、盛田社長は顧客が欲しいと思う価格の3万円台で販売しました。
3万台以上売れば利益が出るという損益分岐点を把握した上で、お値打ち価格で販売し大成功しました。
現代はモノに溢れていて、消費者の目も厳しい時代です。
だからこそ、この「価値基準型価格設定」で、販売金額を決定することが重要です。
モノが売れないのは、2つの原因しかありません。
- 商品に魅力がない
- 価格が間違っている
どんなに魅力的な商品でも、値決めを間違えれば売れません。
家具・インテリア販売で大成功を収めているニトリも、この価格戦略にポイントがあります。
「お、ねだん以上。」というキャッチコピーはCMなどでも聞いたことがあるフレーズだと思います。
値段以上に価値がある商品を提供することで業績を伸ばしています。
まさに、価値基準型での価格決定になります。
もちろん、価値基準で値付けすると、コストが合わないということが出てくるケースがあります。
その場合は、コスト削減の努力をしなければいけません。
ニトリもSPAというモデルを導入することでコスト削減し、お値打ち価格で販売が出来ています。
ユニクロも全く同じです。
価値基準型で、一体いくらがお値打ちなのか
その金額範囲をリサーチする方法があります。
オランダの経済学者であるウェステンドルフが1976年に開発したPSM分析というものがあります。
PSMとは、「プライス・センシティビティ・メーター」の略語になります。
その分析手法は、ターゲットの消費者を数十人~数百人選び4つの質問をします。
「安すぎて、品質が不安だ」と、感じ始める価格はいくらですか?
質問2
「安いけど、品質に不安はない」と感じる価格はいくらですか?
質問3
「高いけど、買う価値がある」と感じ始める価格はいくらですか?
質問4
「品質が良くても高過ぎて買えない」と感じる価格はいくらですか?
この4つの回答について、価格別に答えた人の人数を数えて、回答者全員の比率を縦軸に取って、4つのグラフを作成していきます。
この4つのグラフを1つのグラフに重ね合わせるとお値打ち価格帯が分かります。
「安さの限界価格」は、質問1と質問3の交点になります。
「高さの限界価格」は、質問2と質問4の交点になります。
この間の価格がお値打ち価格帯です。
文章で説明すると少し分かりにくいですが、実際にグラフを作成すると明確です。
是非とも、このPSM分析を実践して、一番売れる価格帯を見分けてください。
ちなみに、通販では価格帯によって、ある程度のコンバージョン率の推移が明確に出ています。
500円オファー → 5~10%
5,000円オファー → 1~5%
あくまでも基準の1つなので、価格オファーの参考にしてください。