記事の監修
株式会社リアルプロモーション 代表取締役松本剛徹
2011年に株式会社リアルネットを創業して、20代経営者ベストベンチャー30に選出される。
現在、全10事業を多角的に展開し、AI・教育・Webマーケティング・プロモーションなど4社を経営。
グループ年商は20億円を突破。事業売却や事業譲渡、会社売却を経験してきたシリアルアントレプレナー(連続起業家)として活躍中。
新規事業にはビジネスプランが必須とわかっていても、肝心のつくり方に精通している人はそう多くありません。経営者といえども、ビジネスを立ち上げる機会はそう何回もありませんから、これはしかたのないことです。
しかしビジネスプランは、事業の方向性を明確にする設計図の役割とともに、融資を引き出すための審査書の役割ももっています。
第三者が納得するようなしっかりとしたビジネスプランをつくれるかどうかは、企業にとって死活問題ともいえる重要事項なのです。そこで今回は、ビジネスプラン作成の目的や成功するビジネスプラン作成のコツについて、わかりやすく解説していきます。
それでは、さっそくはじめていきましょう。
目次
ビジネスプランをつくる目的
冒頭でも触れたように、ビジネスプランは新規事業の設計図と、融資を引き出すための審査書として作成されます。
その2つの役割をきちんと果たせるように、この章ではまず、ビジネスプラン作成の目的を下記3点に絞り、こまかく検証していきます。
- 新規事業に関係する人の認識を統一させるため
- 作成過程で成功するポイントや改善点を明確にするため
- 金融機関へ提出し、資金計画をスムーズに進めるため
ひとつずつ解説します。
新規事業に関係する人の認識を統一させるため
ビジネスプランを噛み砕いて表現するならば、新規事業の内容を関係者に知ってもらうための資料です。
当たり前の話ですが、新規事業は経営者の力だけで、できるものではありません。会社の役員・従業員・関連企業といった、関係者の協力が不可欠です。
そのためには、関係する人すべてに、新規事業に対して正確な認識をもってもらう必要があります。その共通言語とでもいうべき「新規事業の道標」が、ビジネスプランなのです。
ビジネスプラン第1の目的は、新規事業に関係する人の認識を統一させるためであると、しっかり押さえておきましょう。
作成過程で成功するポイントや改善点を明確にするため
ビジネスプラン作成第2の目的は、作成過程で、成功するポイントや改善点を明確にするためです。つまり、発案者の思考に客観性をもたせるための、「たたき台」の役割もあるといえます。
ビジネスプランをざっくりと分類すると、必要な要素は大きく4つ。
- 市場性:世の中にどれくらい必要とされているか?
- 独自性:競合他社の商品と差別化できている点はどこか?
- 採算性:新規事業で十分な売上と利益が確保できるか?
- 実現性:本当にそのビジネスはうまくいくのか?
まずは、上記4点に対して明確に答えられるよう、ビジネスプランを煮詰めていきましょう。そうすれば、誰が見てもビジネスの骨子がわかる「使えるビジネスプラン」が、できあがるはずです。
金融機関へ提出し、資金計画をスムーズに進めるため
金融機関から融資を引き出すための審査書類。それが、ビジネスプラン第3の目的になります。
融資を受ける相手は金融機関に限定されるものではなく、最近では個人投資家やクラウドファンディングからの融資もかなり一般的になってきました。金額によっては、親族・友人・経営者仲間から投資を受けることもあるでしょう。
共通しているのは、「事業計画書を読んだ相手に、その事業がうまくいくかどうかを判断してもらわなければならない」ことです。
融資なら「利子を含めて毎月必ず返済できる」、投資なら「期限までに投資金額に見合ったリターンが手にできる」というメリットを、ビジネスプランから感じてもらえなければ、資金調達はうまくいきません。
いずれにしても、ビジネスプランは3つの目的をすべてクリアーしている必要があります。多方面から徹底的にチェックして、抜けのないビジネスプランをつくっていきましょう。
成功するビジネスプランは分析がすべて
誰が見ても納得できる「成功するビジネスプラン」は、とにかく具体的です。書かれている数値にもきちんと根拠があり、実現性を強く感じさせてくれます。
そういった成功するビジネスプランをつくるには、勝手な思い込みではなく、事実にもとづく客観的な分析が不可欠です。
この章では、分析の重要性について、以下3つの側面から解説していきます。
- 市場分析
- 競合分析
- 自社分析
それではひとつずつ見ていきましょう。
まずは市場の分析からはじめよう
これまでほかの記事でも幾度となくお伝えしているように,すべては「世の中の不平不満をリサーチすること」からはじまります。
リサーチで見つけたビジネスアイデアがいけそうだとなれば、今度は実際に事前アンケートやテスト販売などをおこない、市場ニーズの有無を確認します。
しかし新商品が市場に受け入れられそうだとしても、市場規模が小さすぎるとビジネスとして成り立ちません。
逆に市場規模が大きすぎても、おそらくすでに競合企業がたくさんいて、新規参入企業に勝ち目はないでしょう。
中小企業は、競合の少ないニッチ市場でNo.1になるよう戦っていくのがセオリーです。このニッチ市場の選定と市場規模の見極めも、経営者の重要な役割になります。
◎市場分析については、以下の記事もご確認ください
競合企業の分析
競争資源の少ない中小企業は、前述のとおり、ニッチ市場でNo.1を目指すのがセオリーです。競合同士が傷つきながら戦うレッドオーシャン市場は、どんなことがあっても避けなければなりません。
となれば、当然競合分析が重要になってきます。さまざまな競合分析手法のなかでも、まずベースとなるのは「3C分析」でしょう。
3Cとは、以下3点の頭文字を取ったものです。外部要因(市場・競合)と、内部要因(自社)の両面から分析ができるので、非常に便利でわかりやすい分析手法といえます。
- Customer(市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
競合分析と聞くとなにやらむずかしそうですが、ようは競合他社をいくつかピックアップして、対象ニーズや戦略・価格・強み・弱みなどを調べるだけです。
あとは自社との違いを明確にすれば、「どうやって戦えば勝てるのか」が自然と見えてくるでしょう。
自社リソースの分析
市場と競合企業の分析が終われば、次は自社の分析です。自社の分析には、「SWOT分析(スウォットぶんせき)」を使います。
SWOT分析は、「Strength( 強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取ったもので、自社観点(S・W)と外部観点(O・T)の両面から分析をするのが特徴です。
ここまで便宜上、3C分析は競合、SWOT分析は自社と説明してきましたが、実際はそこまで明確に役割分担されていません。
じつはどちらの手法でも、市場・競合・自社の分析は可能です。ただ両方おこなうことでより精度の高い分析ができるので、基本的に3C分析とSWOT分析は、セットでおこなうと考えておいてください。
成功するビジネスプランをつくるコツ
ビジネスプラン作成の目的や分析手法が明確になったところで、最後に成功するビジネスプランをつくるコツについて、3点ほどご紹介していきます。
- ビジネスプランを作成する目的を明確にする
- ビジネスプランは短く簡潔に
- 自社の差別化ポイントを前面に打ち出す
ひとつずつ解説していきます。
ビジネスプランを作成する目的を明確にする
ここまで解説してきたことの繰り返しになりますが、「ビジネスプラン作成の目的」は本当に重要なので、再度お話ししておきます。
ざっくりいってビジネスプランには、新規事業の設計図と融資の審査書という、2つの大きな役割があります。
もう少し具体的にいうと、以下の3つの目的を達成するために、ビジネスプランは作成されるのです。
- 新規事業に関係する人の認識を統一させるため
- 作成過程で、成功するポイントや改善点を明確にするため
- 金融機関へ提出し、資金計画をスムーズに進めるため
こういった目的を忘れて、ただ形だけのビジネスプランをつくっても、正直なんの意味もありません。ぜひもう一度、ビジネスプラン作成の目的を頭に刻み込んでください。
ビジネスプランは短く簡潔に
ビジネスプランというと、ここぞとばかりに長文のプランをつくる人が少なくありません。
おそらく、できるだけこまかく書いたほうがしっかりと内容を理解してもらえる、という意識が働くのだと思います。
しかし、はっきりいって、これはまったくの逆効果です。ビジネスプランは、「短く簡潔に」が鉄則。長くて冗長なビジネスプランは、読む人をゲンナリさせます。
もちろん融資先などに提出するビジネスプランには、少なくとも以下に挙げたような項目が必要ですから、全体ではそれなりの文量になります。しかし各項目の内容は、やはり簡潔でわかりやすい説明でなければいけません。
- 事業名、企業名
- 事業概要、事業のビジョン
- 商品サービス概要
- 市場分析
- 競合企業との差別化
- 販売戦略、マーケティング戦略
- 収支計画
- 母体企業情報
ビジネスプランの書き方については、少し古い資料ですが、総務省の「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」が役に立つと思います。
いずれにせよ、親戚や友人に「おまえどんな仕事してんだ?」と聞かれたときの答えが、そのビジネスの本質です。「ビジネスプランは短く簡潔に」この大原則を忘れないでください。
自社の差別化ポイントを前面に打ち出す
成功するビジネスプランを読むと、どのプランもじつにうまく、自社の差別化ポイントを前面に打ち出しています。何回読んでも、「なるほど、こんな強みがあるなら、必ずうまくいくに決まっている」と思わせてくれるのです。
また金融機関や投資家は、これまでに何百というビジネスプランを見てきています。そういった人達から支持を得るためには、差別化に裏付けがあればさらに確率はアップします。
まだ実際に販売していなくても、テストマーケティングや事前アンケートなどで、商品の差別ポイントを実績として見せることは可能です。
少額でかまわないので、ぜひテスト結果を差別化の証拠として活用してください。
まとめ
今回の記事を最後まで読んでくれた人は、ビジネスプランを成功に結びつけるために必要な要素を、しっかりと理解していただけたと思います。
ビジネスプランの作り方や分析方法も重要ですが、本当に核となるのは、ビジネスプラン作成の目的です。今回解説した3つの目的を満たすビジネスプランであれば、新規事業は必ず成功するでしょう。
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