記事の監修
株式会社リアルプロモーション 代表取締役松本剛徹
2011年に株式会社リアルネットを創業して、20代経営者ベストベンチャー30に選出される。
現在、全10事業を多角的に展開し、AI・教育・Webマーケティング・プロモーションなど4社を経営。
グループ年商は20億円を突破。事業売却や事業譲渡、会社売却を経験してきたシリアルアントレプレナー(連続起業家)として活躍中。
企業の経営者というのは、基本的に孤独な存在です。同じ会社の社員にも、普段つきあいのある同業者にも下手なことは相談できず、新規事業に関してもすべて自分ひとりで決めていかなければならないのですから。
ところが、新規事業立ち上げのノウハウと経験をもった経営者など、この世にほとんど存在しません。経験がなくてもやらなくてはならない。だから、多くの経営者が悩み苦しんでいるのです。
そんな悩める経営者に対して、私はよく、「壁打ち」(相談)をオススメしています。しかし、一般的な会社員と違い、経営者には経営者としての壁打ちのやり方があります。そこを外すと、せっかく壁打ちをしても、効果は半減するでしょう。
そこで今回の記事では、新規事業に取り組む経営者向けに、壁打ちで新規事業の精度を高めるコツや壁打ちのメリットについて解説していきます。
目次
新規事業の精度を高める壁打ちのコツ5選
それではさっそく、新規事業の精度を高める壁打ちのコツを、5つほど紹介していきます。
- 相談と壁打ちの違い
- 成果の出る壁打ちのやり方
- 壁打ちの相手はどんな人を選ぶべきか
- 形のないものにお金を払う意識をもとう
- リモート壁打ち活用のススメ
ひとつずつ見ていきましょう。
相談と壁打ちの違い
これまで壁打ちをしたことのない人にすれば、「相談と壁打ちってなにが違うの?」という感じではないでしょうか。
冒頭では壁打ちと相談は同じような意味として書いてしまいましたが、経営者に限定した場合、じつは両者を明確にわけて考える必要があります。
通常相談というのは、家族や友人、仕事関係なら同僚や上司など、自分の身近な存在にするものですよね。一方、経営者による壁打ちの場合、家族や社員に話をしても、あまり意味がありません。
経営者と経営に携わっていない人では、事業に対するスタンスが根本的に違うからです。
また一般的な相談と違い、経営者は、すでにアウトラインが決まっている内容にフィードバックが欲しくて相談しています。
ゼロから答えが欲しいのではなく、自分の方向性が正しいかどうかを確認したい。ここが、通常の相談と経営者の壁打ちの、大きく異なる点です。
成果の出る壁打ちのやり方
忙しい時間を割いて壁打ちをするなら、できるだけ成果の出るものにしたいというのが、多くの経営者の本音だと思います。
そのためには、壁打ちの頻度がとても重要です。
経営者には、検討したり決断したりすべきことが、たくさんあります。だから、数ヶ月に1回壁打ちするだけでは、到底足りません。数ヶ月に1回では、頭を整理できない期間が長期に渡ってしまいますからね。
そう考えると、やはり最低でも1週間に1回は壁打ちを実施したいところです。
もちろん、経営者が忙しいのは重々承知しています。だから、1回の時間を短くしましょう。月に1回2時間するよりも、30分でいいので週に1回ずつ壁打ちしたほうが、効果は大きいです。
壁打ちの相手はどんな人を選ぶべきか
経営者の壁打ちは、相手の選定も非常に重要です。前述のとおり、社員や家族と壁打ちをしてもあまり意味がありません。(とはいえ、時にはそういった相手と話すのも、また別の気づきがありますけれども……)
とにかく、経営者の壁打ちでは、「新規事業に精通した専門家」を選んでください。新規事業を立ち上げたことのない人と、新規事業の壁打ちをするのは、どう考えてもナンセンスですよね。
その点専門家が相手なら、自分の考えを修正してもらうという目的は、確実に達成できます。
たとえが適切かどうかわかりませんが、がんになってしまった患者が、素人にがん治療の相談をしませんよね。患者が医者に診てもらうように、新規事業に関する話は、新規事業の専門家としましょう。
形のないものにお金を払う意識をもとう
最近は、コンサルタントに相談するのも当たり前になってきましたが、まだまだ日本人は、形のないものにお金を払う意識が薄いようです。
だから、つい身近にいる人に相談してしまいます。しかしあなたが経営者なら、無料で誰かに相談するのは、基本的にNGだと思ってください。
理由はふたつあります。ひとつめの理由としては、無料で身近な人に相談しても、無難な一般論しか得られないというのが挙げられます。
これは別に、相談相手が悪いわけではありません。通常そういった相談相手に対して、自分のアイデアを1時間かけて詳細に説明しませんよね。ようするに、情報不足なのです。
その点、専門家との有料壁打ちなら、じっくりと自分の状況を説明しても嫌がられないし、専門家の立場から内容をきちんと理解してくれます。
ふたつめの理由は、コンプライアンスの問題です。友人や同業者に相談したら、悪気はなくとも、いつ内容が外部に漏れるかわかりません。
しかし専門家ならコンプライアンスの意識があるので、あまり公にしたくない内容も、安心して打ち明けられます。(場合によっては、秘密保持契約は必要かもしれませんが)
そういうわけですので、新規事業を成功させたいと願う経営者なら、壁打ちに対してしっかりと対価を払う意識をもちましょう。
リモート壁打ち活用のススメ
これまでなら、対面でじっくりと話をするのが当たり前でした。しかしこれからは、オンラインでの「リモート壁打ち」が主流になってくるでしょう。
私もコロナ騒動以前は、それほどオンラインでの打ち合わせを利用していませんでした。ところが現在では、打合せのほとんどがオンライン経由になっています。
とはいえ、決まった内容を話し合う通常の打ち合わせと違い、フリートークに近い壁打ちでは、少々不安を感じるかもしれません。
しかし、これもすべては慣れです。時間と場所を問わないリモート壁打ちは、忙しい経営者にとってむしろ歓迎すべき状況といえます。もし、まだZoomなどのリモート環境が整っていないのなら、今すぐに準備してください。きっと、壁打ちが何倍も楽になりますよ。
壁打ちが新規事業に与えるメリット
前半戦で壁打ちのコツを知ってもらったところで、後半戦では壁打ちが新規事業に与えるメリットを4つほど紹介していきます。
- 自分の考えに対して客観的なフィードバックがもらえる
- 言語化する過程で、アイデアが明確になっていく
- 事業プランの分析と修正が比較的楽におこなえる
- モヤッとした気持ちと思考がクリアーになる
ひとつずつ解説します。
自分の考えに対して客観的なフィードバックをもらえる
ここまでなんどもお話ししたように、自分の考えに対して客観的なフィードバックをもらえるのが、専門家と壁打ちをおこなう大きなメリットです。
どんなに経験豊富な経営者でも、新規事業を立ち上げた経験はおそらく1回、多くても2回がせいぜいでしょう。
対して新規事業立ち上げの専門家は、コンサルタントとしてだけでなく、自らも起業家であるケースがほとんどです。現に今お話ししている私自身も、これまでに24個の新規事業を立ち上げ、うち10事業を多角化して、全グループの年商は20億円を突破しています。
こういった歴戦のプロから、自分のアイデアに対して忌憚のない意見をもらえるわけですから、多少の費用を払ったとしても、得られる効果は比べものにならないと思います。
言語化する過程で、アイデアが明確になっていく
壁打ちは決して一方通行のコミュニケーションではありませんが、基本的にあなたが発信しないとなにもはじまりません。
あなたが投げかけ、相手が打ち返す。そしてまたあなたが、別な球を打つ。相手はあくまでもあなたの問いかけにフィードバックをするだけ。壁打ちは、常にあなたが発信者となります。
ということは、当然自分の伝えたいことを言語化しなければなりません。自分のなかで曖昧だったものが、言語化する過程で、どんどんと明確になっていく。これが非常に重要なのです。
言語化をより効率的におこなうなら、マインドマップなどを活用するのもよい方法だと思います。頭のなかに散らばるアイデアの素をマインドマップに書き出すことで、それぞれが論理的に繋がり出すでしょう。
さいわい今は、「MindMaster」のような高性能なマインドマップソフトが、無料で利用できます。興味のあるかたは、ぜひこういったツールも積極的に活用してみてください。
事業プランの分析と修正が比較的楽におこなえる
新規事業立ち上げの専門家と壁打ちをすれば、事業プランの分析と修正が比較的楽におこなえます。
なんといっても、壁打ちの相手は、これまでに何百という事業プランを見てきている専門家です。あなたが考えている事業プランのなにが悪くて、どこを伸ばせばいいのか、それこそ一瞬のうちに見抜いてしまうでしょう。
また、金融機関との折衝経験も深いので、金融機関に好まれる事業計画の立て方にも精通しています。どういったポイントに融資担当者が突っ込んでくるか、そういった視点から事業プランを修正していくと、比較的簡単に融資も受けられるはずです。
モヤッとした気持ちと思考がクリアーになる
冒頭でも触れたように、基本的に経営者は孤独です。わからないことや悩みがあっても、気軽に相談できる相手がいません。だから、いつも心のどこかに、モヤッとした気持ちを抱えています。
これは、精神衛生上、非常によろしくないですね。どんなにタフな経営者でも、モヤッとした気持ちを抱え続けていたら、いつか心がパンクしてしまうかもしれません。
ビジネス関係の壁打ちというと、どうしても結果を出すことばかりに、フォーカスしがちです。しかし経営者は、もっと自分のメンタル面に気を配るべきです。
もしあなたがこういったモヤモヤを抱えているなら、なるべく早く壁打ちをして、思考をクリアーにしてください。そうすれば、きっと進むべき方向性が見えてきます。
まとめ
経営者の多くは、大なり小なり経営上の悩みを抱えているはずです。その解決策を探すうちに、壁打ちに関するこの記事にたどり着いたのだと思います。
気軽に相談もできない経営者にとって、専門家との壁打ちは非常に重要な役割をもっています。本文中でも紹介したように、新規事業のアイデアが明確になり、メンタル的にも楽になっていくでしょう。
これからあなたがやることは、しっかりとした新規事業の専門家を探すだけ。もしそういった心当たりがないのであれば、ぜひ私どもリアルプロモーションに相談してみてください。
もう少し詳細を知りたいというかたは、ぜひ無料Webセミナー「新規ビジネスの創り方」に参加してみてください。あなたのご参加を心よりお待ちしています。